富士の傑作

葛飾北斎の富嶽三十六景や安藤広重の富士三十六景
冨塚晴夫の「冨塚富嶽三十六景」は
それらの浮世絵に思いを寄せて制作されました。

北斎や広重の時代から遠く隔たった現代では、
富士山の周りの風景は様変わりしています。

それでも富士山は人々を魅了してやみません。
今を生きる我々と過去の人々の眼差しが交差する富士の姿を、
山梨県身延町の伝統工芸 西嶋和紙へプリントした三十六枚の
写真で表現した「冨塚富嶽三十六景」。
麗しい富士と和紙との調和をお楽しみください。

冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏
葛飾北斎 1830–1832年頃|多色木版画

大潮
冨塚 晴夫

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1830s

2020s

冨塚富嶽三十六景

三十六という数は北斎、広重に倣ったものですが
それぞれの作品は冨塚晴夫が名づけました。

「黄昏の時」「紅霞」「鮫雲」「湖の宝石」。
富士そのものを大きく写した作品はわずかです。
多くは、周囲の景色や雲を加えて富士を捉えています。
小さく写っていてもなお、圧倒的な存在感がある
 だからこそ広角で撮る。
40年の撮影が導いた方法です。

冨塚晴夫と
富士山

およそ40年、富士山を撮り続ける。

生まれは、窓越しに富士が見えた神奈川・平塚。
学生時代を過ごしたのは、東京・富士見ヶ丘。
そしていま暮らすのは、
富士山に最も近い湖  山中湖。

相模川は山中湖に源を発し、平塚で海へ注ぎます。
水をたどるように、富士のそばへ戻ってきました。

海越しの富士、湖越しの富士 ――
何度個展を開いても、作品には水があります。

ゴールのない被写体

富士山は千変万化です。
同じ姿は二度となく、誰もがその姿を愛している。
だから撮り続けても、終わりが来ません。

大切にしているのは、畏敬の念。
そして、優しく美しい富士を追い続けること。

ロケハンを重ね、いちばんよい時期を選び、
シャッターチャンスを待つ。
ぎりぎりまで待つ。
妥協しない。
それだけです。

2005 FUJIYAMA展/
ハンガリー

EU・日本文化交流年の公式行事として、
ブダペスト、ドナウ川沿いの国立美術館で
「FUJIYAMA」展が開かれました。
会期は8月のひと月間。

北斎と広重のオリジナル版画それぞれ36点と、
冨塚晴夫による現代の富士36点を並べて展示。
入場者は1万6千人にのぼりました。

ハンガリーは日本文化への造詣が深く、
浮世絵や歌舞伎に関心を持つ人が多い国。
写真・映像への関心も高く、
質問がもっとも多かったのは、
現代の都市から望む富士山の写真でした。

浮世絵と写真が並んだこのひと月が、
「冨塚富嶽三十六景」という作品群の
出発点になりました。

西嶋和紙と山十製紙

冨塚富嶽三十六景を刷るのは、富士川に沿う町、山梨・西嶋の手漉き和紙です。武田信玄の時代に始まったとされる西嶋の紙づくりは、およそ460年。原料の三椏(みつまた)は、繊維が細かく樹脂分を多く含みます。

山十製紙は、この三椏の古紙を再び原料へ戻し、墨がゆっくりと滲む書道紙をつくり続けてきました。

滲みは欠点ではありません。
墨が紙の繊維へゆっくりと入り込み、輪郭にわずかな揺らぎを生みます。その揺らぎが、一枚一枚に異なる表情を与えます。

同じ紙づくりの技術がいま写真を受けとめています。

繊維が絡み合い、細かな光沢をもつ和紙。その「裏側」に写真を刷ることで、インクは紙に埋もれすぎず、色に奥行きが生まれます。

さらにこの作品では、山梨の水晶を細かな粉にして紙に漉き込みました。
マットな質感のなかで白が際立ち、近づくと、紙の表面に微かな粒の光が見えます。

写真と西嶋和紙、それぞれの表情が重なり、新たな表現となっています。

身延町西嶋 山十製紙

山十製紙 代表 笠井伸二 氏

富士を迎える

木製フレームに額装してお届けいたします。
届いたその日から、お部屋にお掛けいただけます。

サイズ
西嶋和紙プリント 297mm × 420mm
木製フレーム   415mm × 520mm

ご購入をご希望の方は
お問い合わせフォームよりご連絡ください。

未来への贈り物

40年、富士を撮り続けるなかで、
富士山は静かにその姿を変えてきました。

そして、その麓に生きる人々の暮らしもまた、
時代とともに少しずつ形を変えてきました。

かつての風景。
受け継がれてきた手仕事。
土地の習わしや食文化。
そして、そこで暮らしてきた人々の記憶。

そうしたものは、今も人々のなかに息づいています。
けれど、記憶は記録として残さなければ、
いつか静かに失われていきます。

冨塚富嶽三十六景の収益の一部は、
富士山麓に残る記憶を
未来へ手渡すための活動に活かしていきます。

・富士山麓の暮らしや風景を写した写真のアーカイブ
・地域に暮らしてきた人々の語り・聞き書きの記録
・農業、工芸、料理など、受け継がれてきた手仕事の記録
・文書、写真、生活資料などのデジタル化
・祭り、年中行事、食文化、地域の習わしの記録 など

現代の富嶽三十六景を手にすることが、
この土地に生きてきた人々の記憶を残し、
次の世代へつないでいく力となります。

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山中湖写真ギャラリー

〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野508-389
TEL 0555-62-1701

冨塚富嶽三十六景

© Haruo Tomitsuka